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山田が結婚活動(以下、婚活)という概念を考えるに至った背景には、[[日本]]の結婚を巡る環境の変化(以下を参照)にある<ref name="konkatsujidai"/>。
 
山田が結婚活動(以下、婚活)という概念を考えるに至った背景には、[[日本]]の結婚を巡る環境の変化(以下を参照)にある<ref name="konkatsujidai"/>。
 
* [[年功序列]]制度の崩壊で男性の将来収入の見通しが不安定になったこと<ref name="konkatsujidai"/>(低収入の男性は結婚がしづらいため<ref>研究機関では、[[独立行政法人]] [[労働政策研究・研修機構]]が2005年に『若者就業支援の現状と課題 ―イギリスにおける支援の展開と日本の若者の実態分析から―』で指摘</ref>。ちなみに、このことは1980年代にはすでに確認されていたが、マスコミ等が発表を嫌がりなかなか表に出なかったという<ref>山田昌弘『新平等社会』 文藝春秋、2006年9月</ref>)
 
* [[年功序列]]制度の崩壊で男性の将来収入の見通しが不安定になったこと<ref name="konkatsujidai"/>(低収入の男性は結婚がしづらいため<ref>研究機関では、[[独立行政法人]] [[労働政策研究・研修機構]]が2005年に『若者就業支援の現状と課題 ―イギリスにおける支援の展開と日本の若者の実態分析から―』で指摘</ref>。ちなみに、このことは1980年代にはすでに確認されていたが、マスコミ等が発表を嫌がりなかなか表に出なかったという<ref>山田昌弘『新平等社会』 文藝春秋、2006年9月</ref>)

2009年10月27日 (火) 22:17時点における版

婚活(こんかつ)とは、結婚するために必要な行動。就職活動(就活)に見立てて社会学者、山田昌弘が考案、提唱した造語

言葉が初めて世に出たのは、『AERA』2007年11月5日号[1]。ちなみに、山田は後に白河桃子と『「婚活」時代』を執筆。動機として「日本の結婚の実態を明らかにし、「結婚できないけれどしたい」という人をサポートすることが必要だと思った」[2]とインタビューで答えている。

婚活 1.jpg


背景

山田が結婚活動(以下、婚活)という概念を考えるに至った背景には、日本の結婚を巡る環境の変化(以下を参照)にある[1]

  • 年功序列制度の崩壊で男性の将来収入の見通しが不安定になったこと[1](低収入の男性は結婚がしづらいため[3]。ちなみに、このことは1980年代にはすでに確認されていたが、マスコミ等が発表を嫌がりなかなか表に出なかったという[4]
  • 男女雇用機会均等法制定、1980年代以降の恋愛の自由化と価値観の多様化に伴いお見合い結婚職場結婚が減少、男性総合職と女性一般職という職場結婚の仕組みが崩れた[1]

 等 こうして“特に活動を行わなくてもなんとなく結婚できたシステム”が崩れ、モテる人とモテない人が二極化。結婚のためには活動が必要になったという[1]

  • また、テクノロジー、流通の進歩により男性にとって家事と仕事の両立が容易になり結婚するメリットが少なくなった事、司法による男性差別により離婚、慰謝料のリスクを避けるため男性の結婚願望が弱くなった事があげられる。
  • DIAMOND online2009年1月9日付において、池内ひろ美は、女性が結婚や出産をしたがらず少子・晩婚・非婚化が起きている原因を、「現代日本人男性の多くが「一流の遺伝子」を持つ男でないからである」とし、「男は意識を変えろ」、「『あなたの子どもを産みたいわ』、女性にそう言わせてこそ一流の遺伝子を持つ男である」などと優生学、遺伝子差別、優等血統主義を肯定し、女性に対しては何の責任追及は行わず、男性に少子化問題の全て責任を押し付け、転嫁する発言を行った。

婚活の概要

婚活 3.jpg

山田らによる『「婚活」時代』では以下のとおり。

  • 自分を磨いてみる - 男性のコミュニケーション能力や経済力など。女性は磨きすぎると逆に結婚可能性が遠のくという指摘が[1]
  • 要求水準を見直してみる - マッチング条件が多くなるほど、条件が適合する異性は少なくなる。また、例えば女性が専業主婦を望んだとしても、それをかなえられる男性は全体のごく一部。そのためパイの取り合い、結婚の遅れにつながる[1]
  • 出会いの場を増やしてみる - システムが崩れた今、ただ待っていても異性は現れない[1]

なお、婚活のブーム化や、少子化対策などを背景として、結婚活動の支援に取り組む地方自治体や企業も出てきている[5][6][7]。また、こうした社会情勢を奇貨とみた企業によって、結婚活動関係のビジネスが活況を呈している[8]。しかし、商行為が悪質とされた企業が告発されるなどの問題も発生している[9]

評論家三浦展エコノミスト門倉貴史らは、結婚相手の収入に対する女性側の要求水準が高まり、少子化が進む一方、収入の不安定な者同士のできちゃった結婚が増えることで、社会階層(ないし階級)の固定化及び世襲化が進むと論じている。

批判

婚活 4.jpg

橋爪大三郎東工大教授(社会学)は、「就職活動の連想で『婚活』が出てきたことに、奇妙なものを感じる」「本来、恋愛から結婚への過程は千差万別。それを他人に用意されたパッケージで、リスクを取らず最小限の労力で済まそうなんて、信じられません。クロゼットの洋服を選ぶ感覚で結婚相手を決める発想は、勘違いだよと言いたい」「あの世に旅立ったキヨシローじゃないが、婚活に血道を上げる連中に聞いてみたい。「愛し合ってるかい?」と。彼らに「恋愛」の2文字はみじんも感じない。あるのは「計算」だけ。「草食系」などとチヤホヤするな。もっとガツガツ「肉」を食え、もっと恋をしようではないか。」「『恋愛結婚』が定着したのは、1960年前後。まだ、社会全体が恋愛に慣れていないのです。結婚制度の変化に多くの人が戸惑っているのが現状で、独身でいることは、そんな自分に正直に生きた結果でもある。結婚する、しないは個人の自由。その意思は尊重されるべき」等々と批判する(「婚カツ!」参考URL参照)。

結婚活動がテーマの作品

テレビドラマ

書籍『「婚活」時代』を原案としたドラマ作品。アラフォー女性の結婚活動を描いている。
こちらは草食系と呼ばれる男性の結婚活動を描いたドラマ作品。

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 山田昌弘、白河桃子『「婚活」時代』 ディスカヴァー・トゥエンティワン 〈ディスカヴァー携書〉、2008年、ISBN 4887596235
  2. 「結婚できない男女が増加 今後は「婚活(こんかつ)」が必須に 『「婚活」時代』の著者、家族社会学者の山田昌弘氏に聞く」『日経ビジネスオンライン』2008年3月12日付配信 より引用
  3. 研究機関では、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2005年に『若者就業支援の現状と課題 ―イギリスにおける支援の展開と日本の若者の実態分析から―』で指摘
  4. 山田昌弘『新平等社会』 文藝春秋、2006年9月
  5. MSN産経ニュース (2008年12月13日) MSN産経ニュース 自治体の「婚活」支援拡大 パーティーや講座、仲人… 2008年12月13日 [ arch. ] 4月20日
  6. MSN産経ニュース (2008年12月21日) MSN産経ニュース 独身男女の“婚活”支援 リロ・ホールディングス 2008年12月21日 [ arch. ] 4月20日
  7. 財団法人こども未来財団 () 財団法人こども未来財団 地方公共団体等における結婚支援に関する調査研究 [ arch. ] 4月20日
  8. ZAKZAK (2008年12月15日) ZAKZAK ヤフー、「婚活」を支援…イオングループと連携 2008年12月15日 [ arch. ] 4月20日
  9. J-CASTニュース (2009年1月26日) J-CASTニュース 「婚活ブーム」の一方で 結婚紹介業への苦情増加 2009年1月26日 [ arch. ] 4月20日

関連文献

  • 『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書) 山田昌弘 白河桃子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008年 ISBN 4887596235
  • 結婚氷河期をのりきる本!』白河桃子(メディアファクトリー)
  • 『セックス格差社会 恋愛貧者 結婚難民はなぜ増えるのか?』 門倉貴史(宝島社)

関連項目

外部リンク