バラ

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バラ(薔薇)とは、バラ科バラ属の(しゅ)の総称。

バラ属の植物は、灌木、低木、または木本性のつる植物で、や茎にがあるものが多い。葉は1回奇数羽状複葉。花は5枚の花びらと多数の雄蘂を持つ(ただし、園芸種では大部分が八重咲きである)。北半球温帯域に広く自生しているが、チベット周辺、中国雲南省からミャンマーにかけてが主産地でここから中近東ヨーロッパへ、また極東から北アメリカへと伝播した。南半球にはバラは自生していない。世界に約120種がある。

「ばら」の名は和語で、「いばら」の転訛したもの[1]。漢語「薔薇」の字をあてるのが通常だが、この語はまた音読みで「そうび」「しょうび」とも読む。漢語には「玫瑰」(まいかい)の異称もある。 欧米ではラテン語rosa に由来する名で呼ぶ言語が多く、また同じ語が別義として「ピンク色」の意味をもつことが多い。

6月誕生花である。季語は夏(「冬薔薇」「ふゆそうび」となると冬の季語になる)。


なお、一般に「ばら」と呼ぶときは、園芸品種としてのそれを指すことが多い。 次節以下では園芸品種としてのバラを中心に解説することにする。

ギャラリー

園芸植物となっているのは、主として次の野生種8種を先祖とし、それらの交配等で生まれたものである。

用途

現在では鑑賞用として栽培されることが圧倒的に多いが、他にもダマスクローズの花弁から精油を抽出した「ローズオイル」は、香水の原料やアロマセラピーに用いられる。 花弁を蒸留して得られる液体「ローズウォーター」は、中東インドなどでデザートの香りづけに用いられる。 また、乾燥した花弁はガラムマサラに調合したり、ペルシャ料理では薬味として用いる。 日本では農薬のかかっていない花弁をエディブル・フラワーとして生食したり、花びらや実をジャムや砂糖漬けに加工したり、乾燥させてハーブティーとして飲用することもある。

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日本におけるバラ

ファイル:Rosa Asagumo 1.jpg
日本で作出されたバラの一つ「朝雲(あさぐも)」

近代前

日本はバラの自生地として世界的に知られており、品種改良に使用された原種のうち3種類は日本原産である。

古くバラは「うまら」「うばら」と呼ばれ、『万葉集』にも「みちのへの茨(うまら)の末(うれ)に延(ほ)ほ豆のからまる君をはかれか行かむ」という歌がある。『常陸国風土記』の茨城郡条には、「穴に住み人をおびやかす土賊の佐伯を滅ぼすために、イバラを穴に仕掛け、追い込んでイバラに身をかけさせた」とある。常陸国にはこの故事にちなむ茨城(うばらき)という地名があり、茨城県の県名の由来ともなっている。

このように日本人にはゆかりのある植物といえる。

江戸時代には身分を問わず園芸が流行ったが、バラも「コウシンバラ」「モッコウバラ」などが栽培されており、江戸時代日本を訪れたドイツ人ケンペルも「日本でバラが栽培されている」ことを記録している。また与謝蕪村が「愁いつつ岡にのぼれば花いばら」の句を残している。

また、ノイバラの果実は利尿作用があるなど薬用に利用された。

ファイル:北播磨余暇村公園のバラP6022977紫雲.JPG
紫雲(鈴木省三 1984作、大輪・四季咲き HT)

明治以後

このように日本人にゆかりのある植物であるが、バラがいまのように「花の女王」として愛好されるようになるのは明治以降である。

明治維新を迎えると明治政府は「ラ・フランス」を農業試験用の植物として取り寄せ青山官制農園(いまの東京大学農学部)で栽培させた。馥郁とした香りを嗅ごうと見物客がしばしば訪れたので株には金網の柵がかけられたという。

まだ、バラは西洋の「高嶺の花」であった。

その後、バラが接ぎ木で増やせることから、優秀な接ぎ木職人のいる、東京郊外の川口市安行や京阪神地域の郊外宝塚市山本で栽培が行われるようになった。 バラは皇族華族、高級官僚といったパトロンを得て、日本でも徐々に愛好され始め生産量も増え始めた。

大正から昭和のころには一般家庭にも普及し、宮沢賢治が「グリュース・アン・テプリッツ(日本名:日光)」を愛し、北原白秋の詩にもバラが登場している。

第二次世界大戦で日本でもバラの栽培より野菜の栽培が優先され、生産が停滞する。

第2次世界大戦以後

しかし、戦後すぐの1948年には銀座でバラの展示会が開かれた。さらに1949年には横浜でバラの展示会が開かれ、そのときにはアメリカから花を空輸して展示用の花がそろえられた。

鳩山一郎吉田茂などのバラの愛好は、戦後日本でのバラの普及に大いに貢献した。このように戦後の高度成長の波に乗り、バラは嗜好品として庶民にも普及していき、日本でも品種改良が行われるようになった。また、鉄道会社が沿線開発の一環として、バラ園の造営を行うようになり、各地にバラ園が開園された。

バラ園の造園

バラの価格が安くなり、一般に普及し始めたとはいえ、花の観賞を楽しむことができるのは、庭を持つ比較的裕福な家庭に限られていた。そのため、私鉄各社は沿線開発の一環として、バラ園の造営を沿線に行い、利用者の増加を図ることになった。

その嚆矢は京阪電鉄であった。同社は戦前から枚方市菊人形の展示などをおこなっていた。キクが秋の風物であるなら、春の風物として独自のバラ園でのバラの展示をし集客を計画した。同社は「東洋一のバラ園」の造園をぶち上げ、当時、日本人ではただ一人の英国園芸協会会員で、バラの導入や品種改良で実績のあった岡本勘治郎をバラ園造営の監督に迎え、「ひらかたばら園」を開園するに至った。その後社名が京阪薔薇園になる。

切り花の普及

日本ではバラは花卉としてはキクカーネーションとならぶ生産高があり、ハウス栽培で年中市場に供給されるようになった。

コンテスト

バラが戦後急速に一般に普及し始めると、ハイブリッドティの花のできばえを競うコンテストが盛んに行われた。これはキクの品評会と同様に栽培技術を競うものであり、大いに栽培技術の向上につながった反面、「喧嘩花」と呼ばれるほど、熾烈を極め、栽培家の間で喧嘩や絶交という事態まで発生した言われる。

ガーデニングのブームの中での大衆化

その一方で最近ではガーデニングの流行などで、オールドローズなどが植栽素材に再び注目を集め、多くの人に愛好されるようになった。

バラの種類

バラの分類方法は定まったものがなく、以下に示すのは一例である。

系統別の分類

原種

  • ヨーロッパの原種
    • ロサ・アルバ(Rosa alba
    • ロサ・カニナ(Rosa canina
    • ロサ・ガリカ(Rosa gallica
    • ロサ・キナモメナ(Rosa cinnamomea
    • ロサ・グラウカ(Rosa glauca
    • ロサ・ケンティフォリア(Rosa centifolia
    • ロサ・スピノシッシマ(Rosa spinosissma
    • ロサ・ウィクライアナ(Rosa wichuraiana

ほか

  • 中近東の原種
    • ロサ・フェティダRosa foetida
    • ロサ・フェティダ・ビコロール(Rosa foetida bicolor
    • ロサ・フェティダ・ペルシアナ(Rosa foetida persiana
    • ロサ・フェッチェンコアナ(Rosa fedtschenkoana
    • ロサ・ダマスケナ(Rosa damascena

ほか

  • 中国の原種
    • コウシンバラRosa chinensis
      • グリーンローズ var. Viridiflora - 花弁・雄シベ・雌シベが葉に変化した品種、花期は長いが種子と花粉が出来ない。
    • ナニワイバラ(Rosa laevigata
    • ロサ・ギガンティアRosa gigantea
    • ロサ・プリムラ(Rosa primula
    • ロサ・マリガニー(Rosa mulliganii
    • ロサ・セリカナ・プテラカンサ(Rosa sericana pteracantha
    • ロサ・ユゴニス(Rosa hugonis
    • ロサ・バンクシアエ・ルテア(Rosa banksiae lutea)(モッコウバラ

ほか

ファイル:テリハノイバラ Rosa wichuraiana.JPG
テリハノイバラ(照葉野茨)
  • 日本の原種
    • イザヨイバラ(Rosa roxburghii
    • サンショウバラ(Rosa roxburghii 'hirthua'
    • タカネイバラ(Rosa aciculaisis nipponensis
    • ノイバラRosa mulitiflora
    • テリハノイバラRosa wichuraiana
    • ハマナスRosa rugosa) 英:Japanese Rose, Rugosa Rose
    • サクライバラ(Rosa uchiyamana
    • モリイバラ(Rosa jasminoides
    • フジイバラ(Rosa fujisanensis

ほか

  • 北米の原種
    • ロサ・キンナモメア(Rosa cinnamomea
    • ロサ・ニティダ(Rosa nitida
    • ロサ・カリフォルニア(Rosa california
    • ロサ・ヴィルギニアナ(Rosa virginiana
    • ロサ・パルストリス(Rosa palustris

ほか

  • 品種改良に使用された原種
    • ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ)(Rosa mulitiflora
    • ロサ・ウィクライアナ(Rosa wichuraiana
    • ロサ・キネンシスRosa chinensis
    • ロサ・ガリカ(Rosa gallica
    • ロサ・アルバ(Rosa alba
    • ロサ・ダマスケナ(Rosa damascena
    • ロサ・ケンティフォリア(Rosa centifola
    • ロサ・フェティダ(Rosa foetida
    • ロサ・モスカータ(Rosa moschata
    • ロサ・ギガンティア(Rosa gigantea

以上11種

園芸品種

テンプレート:wakumigi

ファイル:Rosa sp.131.jpg
イングリッシュローズの名花「グラハム・トーマス」。オールドローズの花容に黄色の花色は画期的であった
オールドローズ

1867年に発表された「ラ・フランス」より前の品種をいう。野生の原種であるワイルドローズを含めるが、含めない場合もある。主な系列としてガリカ、ダマスク、アルバ、ケンティフォリア(センティフォリア)などがある。優雅な花形に豊かな香りが特徴である。オールドローズには一季咲きの品種が多い。

  • アルバ(Alba)
  • ケンティフォリア(Centifolia)
  • ダマスク(Damask)
  • ガリカ(Gallica)
  • ブルボン(Bourbon)
  • ノワゼット(Noisette)
  • ティ(Tea)
  • チャイナ(China)
  • モス(Moss)
  • ポートランド(Portland)
  • ポリアンサ(Polyantha)
  • ランブラー(Rambler)
  • エグラテリア・ローズ(Eglanteria Roses)
  • ハイブリッド・ミセラネアオス(H.Macrantha)
  • ハイブリッド・パーペチュアル(H.Perpetual)
  • ハイブリッド・ムスク(H.Musk)
  • ハイブリッド・モエシー(H.Moyesii)
  • ハイブリッド・センパビエレン(H.Semperviren)
  • ハイブリッド・ムルティフローラ(H.Multiflora)
  • ピンクグルーテンドルスト
モダンローズ

「ラ・フランス」以降のハイブリッド・ティー系、フロリバンダ系など。現在一般的に見られるもので、主として四季咲き性、華やかな花形と色彩が特徴である。

  • ハイブリッド・ティ(Hybrid Tea)
  • フロリバンダ(Floribunda)
  • ミニチュア(Miniature)
  • つるハイブリッド・ティ(Climbing Hybrid Tea)
  • つるフロリバンダ(Climbing Floribunda)
  • つるミニチュア(Climbing Miniature)
  • つる(Climbing)
  • シュラブ(Shrub)
  • イングリッシュ・ローズ(English Roses)- 1969年にデビッド・オースチンが発表した、オールドローズとモダンローズの特徴を合わせ持つシュラブ(半つる性)のモダンローズである、*なお新たな系統が出来た訳ではない。国際登録ではシュラブローズで登録してある。
  • 修景用(Landscape Roses)
  • ハイブリッド・コルデシー(H.Kordesii)

など

花弁の数による分類

花型による分類

  • 平咲き
  • カップ咲き
  • ロゼット咲き
  • クオーター咲き
  • ポンポン咲き
  • 剣弁高芯咲き
  • 半剣弁高芯咲き
  • 丸弁抱え咲き

その他の分類など

このほか、樹形によってブッシュ(立木)、シュラブ(半つる性)、クライミング(つる性)などに分類する方法もある。また小型のものはミニチュアローズといわれそのコンパクトさは多くの人々を惹き付けている。花の形には、剣弁高芯咲き、ロゼット(多芯)咲き、カップ(盃状)咲き、一重咲き等その形状別に分類がなされ、バラを選ぶ際の重要な要素となっている。

関連事項

  • 日本ばら会
  • シトクロムP450 - (青い花に必要な色素を作る酵素)
  • ロゼット - 八重咲きのバラの花びらのような配列のこと。
  • 宇宙バラ - 向井千秋が宇宙でバラを開花させ、持ち帰った。2003年4月、宇宙バラの枝から挿木により育てられた4株が埼玉県川口市に贈られ、川口市内のバラ園で育てられ、11月11日に川口SKIPシティ・科学館に植樹された。川口緑化センター(樹里安)にある。

関連の地域

関連のイベント

バラ園

苗木生産者

日本の育種家と研究家収集家

外国の育種家と研究家収集家

英国

イギリスでは、バラの国立コレクションの異なる分野がデヴィッド・オースティンとピーター・ビールズによって維持された。王立ローズ・ソサエティは、それらを1900年以前のシュラブローズを維持したモティスフォント修道院と、コレクションを維持したバーミンガム大学ウィンターボーン植物園とともに「ヨーロッパのバラの歴史遺産」に指定している。

フランス

ドイツ

オランダ

アメリカ合衆国

その他の国

バラをシンボルとする国や地域

以下、バラをシンボルとする国・地域・自治体名を明確にするため、太字で表記。

日本
アジア
アフリカ
ヨーロッパ
北アメリカ

バラの品種名になった人名などの一覧

ファイル:Rosa Maria Callas01.jpg
「マリア・カラス」(HT) Meilland (1965)

テンプレート:Double image aside

ファイル:Rose Jubile Prince de Monaco.jpg
「ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコ」(FL) Meilland (2000)
ファイル:Rosa Crown Princess Margareta01.jpg
「クラウン・プリンセス・マルガレータ」(ER)
David Austin (1999)

派生事項

慣用句

  • 慣用句「青いバラ(the blue rose)」神の祝福または、不可能の意
  • 慣用句「under the rose」=秘密の意
  • 慣用句「Run for the roses」=ケンタッキーダービーの意
  • きれいなバラには棘がある:外見の美しさに気を取られると危険な目に会う事がある

音楽

その他

脚注

  1. 語頭母音の脱落による。「いだく → 抱く」「いづ(る) → 出る」「いまだ → まだ」などと同様の変化。
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