最高裁判所 (日本)

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ファイル:Saikosaibansho.jpg
最高裁判所(東京都千代田区隼町)

最高裁判所(さいこうさいばんしょ)は、日本国司法府を統括する最上位の裁判所日本国憲法において存在が規定され、裁判所法に基づき構成される。略称は、最高裁(さいこうさい)。

庁舎は東京都千代田区隼町4番2号にある。建築家岡田新一によって設計され、日本建築学会賞を受賞している。

沿革[編集]

構成と組織[編集]

ファイル:最高裁判所裁判官 出身別人数の推移.png
最高裁判所裁判官の出身別人数推移

最高裁判所は、最高裁判所長官と14名の最高裁判所判事により構成される。最高裁判所長官は内閣の指名に基づき、天皇によって任命される。最高裁判所判事は内閣が任命し、天皇がこれを認証する。最高裁判所裁判官の定年は70歳である(日本国憲法第79条第5項、裁判所法50条)。

各裁判官は任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に最高裁判所裁判官国民審査(国民審査)に付され、その後10年を経過するごとに国民審査に付される(日本国憲法第79条第2項)。審査は罷免をしたい裁判官の氏名の欄に×をつけるという方式で行われる。これにより罷免された裁判官は未だ存在しない。

最高裁判所裁判官の報酬は、在任中減額できないと憲法で定められている(日本国憲法第79条第6項第2文)。これは、公務員の中で最高裁判所裁判官の報酬だけを削減することは違憲とする見解であり、国家財政上の理由などで、公務員全体と足並みをそろえて一般的に報酬に関する法律を改正して在任中の裁判官の報酬を減額することは、「司法権の独立や裁判官の身分保障に対する侵害には当たらず合憲」とする見解を取って、2002年に裁判官報酬法を改正して憲政史上初の在任中の減額が行われた。

最高裁判所は、裁判事務における最上位の裁判所であるだけでなく、下級裁判所を統括する司法行政部門の長としても活動しており、また、裁判所における訴訟の手続や司法事務処理に関する事項について規則(最高裁判所規則)を制定することができる。

最高裁判所の司法行政権および規則制定権は、最高裁判所裁判官会議の議決により行使されており、これを補佐し、最高裁判所の庶務を行わせるために最高裁判所事務総局が置かれている。また、法曹を養成する司法研修所なども、司法行政部門に属する最高裁判所の附属機関として置かれている。

裁判部門の構成[編集]

大法廷
長官を含めた15名の裁判官により構成される合議体。
小法廷
5名の裁判官からなり3つある合議体。

受理された事件は当初は小法廷で審理が行われるが、裁判所法10条1号~3号に当たる場合(法令が憲法に適合するか判断するとき、及び憲法その他法令の解釈が、以前の最高裁の判例と異なるとき)、小法廷の裁判官の意見が数説に分かれ各々同数の場合、大法廷で裁判をするのを相当と認めた場合には大法廷に回付され、大法廷において更に審理される。

司法行政部門の組織[編集]

権限[編集]

最高裁判所は、上告および訴訟法において特に定める抗告について最終的な判断を下す権限を持つ。

最高裁判所の最も重要な機能は、上告事件について法令の解釈を統一すること、および、憲法違反の疑いのある法令などについて最終的な憲法判断を下す(違憲審査制)こと(憲法81条参照)にある。

さらに、最高裁判所は司法権に関する事項について規則を制定する権利、司法行政権下級裁判所裁判官の指名権などを有している。

最高裁判所固有の特徴[編集]

最高裁判所調査官制度がある
最高裁判所では、下級裁判所においては特定分野の事件のみを扱う裁判所調査官が、あらゆる事件を扱うために民事、刑事、行政の各分野に分かれて置かれている。調査官は上告された裁判の記録を読み、最高裁判所判事に答申することを職務とする。最高裁は裁判官が15人と少ないため、調査官はその人的リソースを補う効果を有するが、法律によって最高裁判所への上告が制限され、最高裁判所において実質的に審理を行う必要性がない事件をスクリーニングし、すみやかに棄却させる役割を果たしていることから、最高裁判所の裁判官ではなく、調査官によって上告審の裁判がなされていると批判されることもある。
個別意見がつけられる
最高裁判所の判決文には個別意見として判決となった多数意見と別に裁判官それぞれの意見を表示することができる。意見には一般に補足意見、意見、反対意見がある。
補足意見とは、多数意見に賛成だが、意見を補足するもの。
意見とは、多数意見と結論は同じだが、理由付けが異なるもの
反対意見とは、多数意見と異なる意見をいう
追加反対意見は反対意見にさらに補足するものである。


この他、下級裁判所と違って「東京都にこれを置く」とあり裁判所法によって所在地が規定されている(裁判所法6条)。余談だが将来、仮に首都機能が移転されたとしてもこの条項を改正しない限り東京都に置かれることになる。

最高裁判所裁判官[編集]

2007年8月1日現在の最高裁判所裁判官を挙げる。

氏名 任命年月日 学歴 出身分野 70歳誕生日 国民審査 担当小法廷
島田仁郎 2002年11月7日 東京大学法学部卒 裁判官 2008年11月21日 第43回衆院選
(2003年11月9日)
第二小法廷
2006年10月16日より
最高裁判所長官
横尾和子 2001年12月19日 国際基督教大学
教養学部
厚生省 2011年4月13日
第一小法廷
藤田宙靖 2002年9月30日 東京大学法学部卒 大学教授 2010年4月5日
第三小法廷
甲斐中辰夫 2002年10月7日 中央大学法学部卒 検察官 2010年1月1日
第一小法廷
泉徳治 2002年11月6日 京都大学法学部卒、
ハーバード大学
大学院修了
裁判官 2009年1月24日
第一小法廷
才口千晴 2004年1月6日 中央大学法学部卒 弁護士 2008年9月2日 第44回衆院選
(2005年9月11日)
第一小法廷
津野修 2004年2月26日 京都大学法学部卒 内閣法制局長官 2008年10月19日
第二小法廷
今井功 2004年12月27日 京都大学法学部卒 裁判官 2009年12月25日
第二小法廷
中川了滋 2005年1月19日 金沢大学法文学部 弁護士 2009年12月22日
第二小法廷
堀籠幸男 2005年5月17日 東京大学法学部卒 裁判官 2010年6月15日
第三小法廷
古田佑紀 2005年8月2日 東京大学法学部卒 検察官 2012年4月7日
第二小法廷
那須弘平 2006年5月25日 東京大学法学部卒 弁護士 2012年2月10日 第45回衆院選
( - 2009年9月11日)
第三小法廷
涌井紀夫 2006年10月16日 京都大学法学部卒 裁判官 2012年2月10日
第一小法廷
田原睦夫 2006年11月1日 京都大学法学部卒 弁護士 2013年4月22日
第三小法廷
近藤崇晴 2007年5月23日 東京大学法学部卒 裁判官 2014年3月23日
第三小法廷
  • 最高裁判所裁判官の定年は70歳とされているため、任期は最長で70歳誕生日の前日までとなる。
  • 過去の長官については、最高裁判所長官の項を、過去の判事については、最高裁判所判事の項をそれぞれ参照のこと。

庁舎[編集]

ファイル:Saikosai thumb.jpg
三宅坂交差点より全景

建物概要[編集]

  • 所在地 東京都千代田区隼町4番2号
  • 規模 敷地面積 3万7427㎡、建築面積 9690㎡、延べ床面積 5万3994㎡
  • 構造 鉄筋コンクリート構造一部、鉄骨鉄筋コンクリート及び鉄骨造 地上5階・地下2階
  • 設計 岡田新一
  • 完成 1974年(昭和49年)3月
  • 総費用 約126億円(完成当時)

沿革[編集]

  • 1947年(昭和22年)5月 仮庁舎(皇居大手門内、旧枢密院庁舎)
  • 1947年(昭和22年)9月 仮庁舎移転(東京地方裁判所庁舎(旧民事地方裁判所庁舎)3~4階)
  • 1949年(昭和24年)10月 旧大審院庁舎
  • 1974年(昭和49年)3月 現庁舎

名称と異名[編集]

「最高裁判所」の漢字表記は通例常用漢字を用いるが、最高裁判所庁舎に掲げられた銘板には最髙裁判所(最髙裁判所)と「はしご高」で書かれている。

略称は、一般には「最高裁」が通用するが、法曹界ではさらに簡略化し「最高」ともいう。また、庁舎が三宅坂(みやけざか)に面していることから、所在地より「三宅坂」という通称もある。

庁舎の特徴的な外観や、裁判の運営方針などから、法曹あるいは法律学者などからは揶揄的・否定的な意味合いを込めて、「奇巌城」「奇岩城」などと呼ばれることもある。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]



de:Oberster Gerichtshof (Japan)ru:Верховный суд Японии zh:最高裁判所