万歳三唱令

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万歳三唱令ばんざいさんしょうれい萬歳三唱令)は、万歳三唱の作法を定めた太政官布告と称する、1990年代に出回った偽文書である。明治12年(1879年4月1日施行太政官布告第168号という趣旨の表記がされており一見本物のように見えるが、該当する布告は存在しない。

この文書が何時頃から出回ったかは定かではなく、出所も不明である。国立国会図書館には1996年頃からこの文書に関する問い合わせが始まったとのことであり、それ以前から官公庁を中心に出回っていたものと推測される。一部にはその存在を信じた者の発案による実施例も存在する。

他の政治的な偽書などとは性質が異なり、万歳の作法上の混乱を招くだけで存在に余り意味がなく、なぜ作られたかもよく分からない。しかし、ここに定められている万歳の作法が「両手を真上に上げると同時に右足を半歩踏み出す」という一般には行われない奇妙な作法となっていること、そして発令日が4月1日エイプリルフール)であることから、ジョークもしくは悪戯目的で作成されたのが広まったものと推定される。広まった原因としては、国旗国歌の法制化など、時期的に儀礼の形式や実施について敏感な頃であったこと、「正しい作法」に弱い日本人の意識にうまく入り込んだことなどが考えられる。

万歳三唱令の本文[編集]

世間に出回っている「万歳三唱令」の文言は、漢字や表現などに細かい差があるものの、概ね以下のような内容になっている。

萬歳三唱令

別紙ノ通相定来明治十二年四月一日ヨリ之ヲ施行ス
右奉 勅旨布告候事

施行 明治十二年四月一日太政官布告第百六十八号 

第一条 萬歳三唱ハ大日本帝國及ヒ帝國臣民ノ天壤無窮ノ發展ヲ祈念シ發聲スルモノナリ 
第二条 發聲ニ當リ音頭ヲ爲ス者氣力充實態度嚴正ヲ心掛クルヘシ
亦唱和スル者全員其心ヲ一ニシテ聲高ラカニ唱和スルモノトス 
第三条 唱和要領細部ニ附テハ別ニ之ヲ定ム 

朕萬歳三唱ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
此布告ハ明治十二年四月一日ヨリ施行スヘキコトヲ命ス
御名御璽

萬歳三唱ノ細部實施要領
一 萬歳三唱ノ基本姿勢ハ之直立不動ナリ
而シテ兩手指ヲ真直下方ニ伸ハシ身体兩側面ニ完全ニ附著セシメルモノトス
二 萬歳ノ發聲ト共ニ右足ヲ半歩踏出シ同時ニ兩腕ヲ垂直ニ高々ト擧クルヘシ
此際兩手指カ真直ニ伸ヒ且兩掌過チ無ク内側ニ向ク事肝要ナリ
三 萬歳ノ發聲終了ト同時ニ素早ク直立不動ノ姿勢ニ戻ルヘシ
四 以上ノ動作ヲ兩三度繰返シテ行フヘシ
何レノ動作ヲ爲スニモ節度持テ氣迫ヲ込メテ行フ事肝要ナリ

要旨[編集]

本文
発声は、大日本帝国と帝国臣民の永遠の発展を祈って行うこと。
音頭を取る者は、気力充実・態度厳正を心掛けること。
唱和の際には、全員心を一つにして声高らかに行うこと。
実施要領
基本姿勢は直立不動で、両手は指をまっすぐ下方に伸ばし体の側面にしっかり付ける。
万歳の発声とともに右足を半歩踏み出し、同時に両腕を垂直に高々と挙げる。その際、両手の指をまっすぐに伸ばし両掌を内側に向けておく。
万歳の発声終了と同時に素早く元の直立不動の姿勢に戻す。
以上の動作を三度、節度を持ちかつ気迫を込めて行う。

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