パプテマス・シロッコ

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パプテマス・シロッコPaptimus Scirocco, U.C.0061年~0088年2月22日)はアニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場する架空の人物。(島田敏


注意以降に核心部分が記述されています。

キャラクター概要[編集]

地球連邦政府の木星資源採掘船ジュピトリスの責任者。階級はTVでは大尉、劇場版では大佐。年齢は劇場版設定では26歳。

木星船団を統率する指揮官であり、いわゆる「木星帰りの男」。自らを「歴史の立会人」と称して傍観者的立場を決め込むものの、長年に渡る木星圏での生活は彼にある種の悟りを開かせるものだった。ニュータイプの資質を有し、自身にとって有利と思える人物を惹き付ける天性の魅力を備える一方、他者に対し倣岸な態度をとり、反感を買う[1]面もあった。事態を予見する洞察力、優秀なモビルスーツを独自に開発する技術的知識を備えた天才肌の軍人である。

劇中での活躍[編集]

宇宙世紀0087年4月末に地球圏へと帰還。初登場時、自ら試作した可変モビルアーマー・メッサーラの性能テストを兼ねて、ブライト・ノアが操縦するグリーンノアの難民を乗せたテンプテーションを襲う。更に地球軌道上でアーガマと交戦しその能力の高さを見せつけた。ティターンズ首領ジャミトフ・ハイマンに対し「血の誓約書」といった古風な忠誠をたて、表向き恭順を示すとともにグリプス戦役に参戦する。しかし、彼は組織内において瞬く間に頭角を現し、同時にジャミトフの手に余る存在となっていく。ティターンズ旗艦ドゴス・ギアを任され、アポロ作戦時における月面都市フォン・ブラウン市制圧[2]など、優れた戦績を上げる一方で、同時期に地球圏へ帰還した旧ジオン公国軍残党アクシズミネバ・ザビに対しても忠誠を装うなど、その巨大な力をも手中に納めんとして策略を巡らせていく。

戦争終盤、アクシズ旗艦グワダン内において指導者ハマーン・カーンとジャミトフが同席する会談が行われる。これを好機と見たシロッコは、謀略によって同艦をモビルスーツ隊に奇襲させる。その混乱に乗じて彼はジャミトフを暗殺、それをハマーンの陰謀によるものとし、弔い合戦と称して全軍に呼びかける。その後はナンバー2のバスクをも葬り去り、ティターンズの実権を完全に掌握する。シロッコはグワダンを沈め、自ら開発したモビルスーツジ・Oに搭乗し、ハマーンのキュベレイと対峙、ニュータイプ同士の熾烈な戦闘を展開する。

その後エゥーゴは「メールシュトローム作戦」を発動。グリプス2を改装したコロニーレーザーを巡って三つ巴の戦闘に突入する。各勢力から突出したフラッグ・シップ機はコロニー・レーザー内において死闘を繰り広げ、シロッコはハマーンと共に、エゥーゴのΖガンダム、及びクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)操る百式を追い詰める。しかし、結果的にコロニー・レーザーは発射され、ティターンズは主力艦隊を喪失、シロッコは撤退を余儀なくされる。その後、彼はジュピトリスを目前としてΖガンダムと遭遇、これを迎え撃つ。シロッコは襲い掛かってきたカミーユ・ビダンを圧倒するが、死者の意思を吸収したカミーユが搭乗するΖガンダムの超常的威力の前に、乗機ジ・Oはその制御を失う。ウェイブライダー(WR)形態に変形したΖガンダムの突撃を受けた結果、同機のシールドの先端でジ・Oの装甲ごと肉体を貫かれた。絶命の寸前、シロッコは断末魔の思念(シロッコのニュータイプの力と言われている)をカミーユに浴びせ、TV版では彼を精神疾患に追いやっている。直後に機体は爆散し、シロッコの肉体はその野望と共に消滅した。

尚、小説版においては物語の結末が若干異なり、ジ・OはΖガンダムとの決戦においてΖガンダムから放たれたオーラによって機体制御を失い、シロッコと共にコロニーレーザーの閃光に焼き尽くされ、消滅した。

シロッコの思想[編集]

シロッコは劇中で「この戦いが終わった後は恒星間旅行にでも行く」と語るなど、権力を掌握することそのものには興味が無かったように描かれている。だがシロッコが自分の理念を明確に語ることは無かったので、劇中からは具体的な指針はわからない。

シロッコは「力」(男性的権力、或いは個人的才能と置き換えても良いだろう)のみで世を治めることは出来ないとして「女性による世界統治」を提唱している。彼はサラ・ザビアロフレコア・ロンドといった女性を配下に置いており、自らの感性をも研ぎ澄ませていたという。彼女らがシロッコの野望を達する為に、その尖兵としての役割を担っていたことは確かであるが、決してシロッコは彼女らを単なる手駒と捉えていた訳ではなく、彼女らの中に己の持ち得ぬ女性としての資質を見出し、一個の人間としてそれなりの誠実さを持って接していたと思われる。それ故、サラが戦闘中に自らを庇って戦死した折、シロッコは激怒し、彼女を撃墜したカツ・コバヤシへと銃口を向けている。

また、一方で優れた技術的・政治的才能を有するシロッコは、自らの野心を心中に燻らせていた。彼が戦乱に身を投じた真の理由は、木星という僻地で持て余していた己の才能を、戦場という舞台を借りて存分に発揮することであったとする見方もある。[3]シロッコと対峙したシャアは、彼をして「役者」と表現している。結果として彼の才能は、更なる災いの種を呼び込むことに繋がり、他者を自分の野心のために道具にする傲慢さ故に「究極的なニュータイプ」「最高のニュータイプ」と称されるカミーユの怒り、そして死んでいった者達の「念」によって、その野望に終止符を打たれてしまう。

パイロットとしてのシロッコ[編集]

彼はモビルスーツ・パイロットとしての能力も非常に高く、エゥーゴきってのエースであるクワトロ(シャア)及びカミーユ相手に優勢に渡り合い、ハマーンをも驚愕させるものを備えていた。彼は自ら開発したニュータイプ専用機ジ・Oの性能を存分に奮い、並みいる強敵を相手にこれを圧倒した。特に、彼と並ぶ稀代のニュータイプ・パイロット、ハマーン・カーンとの交戦時には、かつてのアムロ・レイを想起させる動作で彼女が操縦するキュベレイのファンネルの挙動を予測し、完全に封じている。続くハマーンとのプレッシャーの掛け合いにおいても一歩も退かず、これと対峙している。

開発、及び搭乗機体[編集]

指揮を執った艦船[編集]

その他[編集]

  • 近藤和久の漫画『新MS戦記』では、宇宙世紀0083年頃に木星圏の衛星ガニメデにあるジオン資源基地への掃討作戦に参加している姿が描かれている。自分に合わないガンダムタイプのMSに搭乗しながらも、シャアや若きハマーンと交戦。一時的ではあるがこれを撃退している。ただしこのコミック自体はパラレル要素が強く公式設定という訳ではない。
  • 小説版では天涯孤独の設定であり、自分と似た境遇のサラを作品終盤に男女の関係を意識するまでは妹代りに可愛がっていた。
  • 『Ζガンダム』の主要人物では珍しく、ファミリーネームで呼ばれる事が多い。但し、サラはアニメ本編及び小説版で「パプテマス様」とファーストネームを独特の発音で呼んでいる。
  • 永野護はヤザン同様にシロッコの新制服もデザインしたがこちらは採用されず、安彦がシロッコの新制服をデザインする際の参考とするのに留まった。
  • シロッコはヘアバンドをしているが、小説版によると適度に頭を締め付ける感じが心地よいとのことである。
  • 木星圏に長期滞在していたが、宇宙から木星を見ていると「押し上げてくるような感じ」がして嫌いなのだという。

出典・脚注[編集]

  1. 作中での彼の態度について、小説版で倣岸と記載されている。地球圏に帰還した際に戦艦ハリオで会見したテッド・アヤチの他、マウアー・ファラオや上官のバスク・オムも彼に対し不快感を抱いている。また、カミーユ・ビダンは、シロッコを人間を手駒と考えて利用する悪の根源と捉えていた。
  2. しかしこれは、上官のジャマイカン・ダニンガンの命令を無視した独断行動であるため、後に彼から制裁を受けている。
  3. 機動戦士Ζガンダムヒストリカ11の記述より。

関連項目[編集]