寝屋川1歳女児虐待死事件

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岸本 憲と岸本美杏
岸本 憲と岸本美杏

寝屋川1歳女児虐待死事件とは、2010年大阪府寝屋川市にて岸本憲、美杏が三女の瑠奈ちゃん(1歳)を殺害した事件である。

事件概要

大阪府寝屋川市のマンションで2010年1月、意識不明の重体になり、入院先の病院で3月に死亡した岸本瑠奈ちゃん(1)について、府警捜査1課と寝屋川署は2010年4月9日、両親が虐待したとして、傷害致死の疑いで、父親の岸本憲(あきら)(26)と母親の美杏(みき)(27)の両容疑者=大阪市生野区巽北=を逮捕。寝屋川署に捜査本部を設置した。

憲は「お茶をこぼしたり拾い食いをしたときなどに、しつけのため平手で50~100回くらい頭をたたいてきたが、娘が死んだのは私の暴力のせいではない」、美杏は「私は何もやっていない」といずれも否認している。

夫婦は、1月26~27日ごろ、当時住んでいた寝屋川市高柳のマンションで、三女の瑠奈ちゃんを暴行し、急性硬膜下血腫などの傷害を負わせ、3月7日夜、入院先の病院で死亡させた。

瑠奈ちゃんは1月27日午前、意識不明の重体で高槻市の病院に搬送された。死因は乳幼児揺さぶられ症候群の可能性が高いという。瑠奈ちゃんはあごを骨折しており、顔にはタバコを押し付けたようなやけどの痕、全身にあざがあった。またひどくやせており、乳幼児健診を一度も受けさせてもらっていなかった。

マンション近くの住民が「子供の泣き声や大きな音が以前から聞こえていた」と証言。寝屋川市も家庭訪問で顔のあざを確認していた。

のどに肉まん。虐待隠ぺいのため詰める

大阪府寝屋川市で岸本瑠奈(るな)ちゃん(当時1歳)が虐待で死亡したとされる事件で、1月に救急搬送された瑠奈ちゃんののどに、かんだ跡のほとんどない肉まんが詰まっていた。

瑠奈ちゃんはあごの骨を折っており食事ができる状況になかったことから、府警寝屋川署捜査本部は、傷害致死容疑で逮捕した両親が虐待を隠ぺいするため、故意に肉まんをのどに詰めたとみている。

捜査関係者によると、父親の岸本憲(あきら)は1月27日朝「1歳の娘が起きない」と119番。

憲らが「前日夜(瑠奈ちゃんが)勝手に食べた肉まんが詰まったのかもしれない」と説明したため、救急隊員が瑠奈ちゃんののどを吸引したところ、肉まんが取り出された。肉まんには、かんだような跡が確認できなかった。

しかし実際は、強く揺さぶられたことで意識不明になっており、3月7日に脳腫脹(しゅちょう)のため死亡したとされる。また、瑠奈ちゃんは意識不明になった時点であごを骨折しており、痛みで食事どころではなかったとみられる。

さらに、憲は逮捕直後の調べで、瑠奈ちゃんの意識不明の原因を「ベッドから落ちたからかもしれない」とも説明したという。

こうした点などから、捜査本部は、虐待で瑠奈ちゃんが意識不明になった後、憲容疑者らがとっさに食べ物を原因にすることを思いつき、肉まんをのどに詰めたとみて追及する。

真冬に姉妹全員オムツ姿

大阪府寝屋川市の岸本瑠奈ちゃん(1)虐待死事件で、市職員が2009年2月に自宅を訪れた際、瑠奈ちゃんら3人の姉妹全員が真冬にもかかわらず、下半身はオムツだけで過ごしていた。

姉2人はひどい虫歯だったことも判明。寝屋川署捜査本部は、傷害致死容疑で逮捕された両親が、3人とも育児放棄していたとみる一方、三女の瑠奈ちゃんだけが暴力をふるわれた背景を調べている。

市は2009年2月24日、未熟児で生まれたのに一度も乳幼児健診を受けていなかった瑠奈ちゃんの子育て支援のため、職員を派遣。

母親の美杏(みき)(27)は四女を妊娠中で、瑠奈ちゃんと姉2人は上半身は服をまとっていたが、下半身はオムツだけだった。さらに姉2人にはひどい虫歯があり、瑠奈ちゃんの両ほほに青あざがあった。

また、瑠奈ちゃんと姉2人はいずれも、市の乳幼児健診を一度も受けておらず、美杏は健診の日程などを説明しようとした職員に、「何しにきた。健診の行き方なんか聞いてへんで」と怒鳴ったという。このため、市は姉妹への育児放棄を疑ったという。

一方で、瑠奈ちゃん以外の姉妹に目立った外傷は見つかっておらず、直接的な暴力をふるわれたのは瑠奈ちゃんだけとみられる。美杏は瑠奈ちゃんを妊娠していた際、妊婦健診を受けていなかった上、出産直後の入院中から面倒見が悪かったという。

裁判

1歳8か月娘虐待死、両親に求刑超す懲役15年(1審 2012年3月)

おとうさん、おかあさん、肉まんは苦しかったよ

大阪府寝屋川市で2010年1月、当時1歳8か月の三女に暴行し、死亡させたとして傷害致死罪に問われた父親の岸本憲(あきら)(28)、母親の美杏(みき)(29)両被告の裁判員裁判の判決で、大阪地裁は21日、いずれも求刑(懲役10年)を上回る懲役15年を言い渡した。

求刑を超える判決は異例。

両被告は公判で「死亡は転倒などの事故が原因だ」と無罪を主張したが、斎藤正人裁判長は、負傷程度から暴行を認定。

「守ってくれるはずの両親から理不尽な暴行を繰り返され、悲惨、悲痛な死を余儀なくされた。児童虐待は大きな社会問題で今まで以上に厳しい刑罰を科すべきだ」と量刑理由を述べた。

判決によると、両被告は共謀。同月27日未明、憲被告が自宅マンションで三女の瑠奈(るな)ちゃんの頭を平手で強くたたいて床に頭を打ちつけ、同年3月、頭部への強い衝撃で脳が腫れる「脳腫脹(しゅちょう)」で死亡させた。

求刑1.5倍判決を破棄。両親、懲役10年と8年に減刑。最高裁(2014年7月)

大阪府寝屋川市で2010年、1歳の三女を虐待し死亡させたとして傷害致死罪に問われ、いずれも一、二審で求刑の1.5倍に当たる懲役15年とされた父親の無職・岸本憲(31)、母親の美杏(32)両被告の上告審判決で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は2014年7月24日、一、二審判決を破棄し、岸本被告に懲役10年、美杏被告に懲役8年を言い渡した。

「直感的」評議を戒め、厳罰化に一定の歯止めにも

「量刑は直感によって決めれば良いのではない」-。

女児への傷害致死罪に問われた両親の上告審で、求刑の1.5倍の懲役15年とした裁判員裁判の結論を破棄した24日の最高裁判決。裁判長を務めた白木勇裁判官は補足意見で、評議の前提として量刑傾向の意義を裁判員に理解してもらう重要性を指摘し、「直感的」評議を戒めた。裁判員の「求刑超え」判決が増える中、厳罰化への一定の歯止めともなりそうだ。

「1審の判決は感情的なものだとしか思えなかった。法律家としては見直されて当然だと思う」

判決後、岸本美杏(32)の弁護人は、量刑を懲役15年から同8年に減刑した最高裁の判断をこう評価。別の弁護人も「市民感覚が反映されるのは想定の範囲内だが、量刑判断にあたって何の基準もないわけではない」と話した。

裁判員らは評議で(1)被告が有罪か無罪か(事実認定)(2)有罪の場合、どのような刑にするか(量刑判断)-について話し合う。

事実認定では、最高裁が平成24年2月、控訴審で事実誤認を理由に1審判決を見直す場合は「論理則、経験則」に照らして、不合理な点があることを具体的に示さなければならない、との初判断を示している。

量刑判断をめぐっては、裁判員制度下で「求刑超え」が増加。2014年5月末までに1審で「求刑超え」とされた49被告のうち、5被告は高裁で破棄されたが、最高裁で量刑が見直されたのは今回が初めてだ。

公平性の観点から過去の量刑傾向を評議での「共通認識」とするよう求めた判決の中でも、詳細に「評議のあり方」を示したのが、白木裁判官の補足意見だ。

白木裁判官は、量刑傾向を考慮しなければ「評議は合理的な指針もないまま直感による意見の交換となってしまう」と指摘。評議では法定刑をベースにした上で、参考となるおおまかな量刑傾向を紹介し、同種事案の量刑判断で考慮された要素を裁判員に説明することなどが必要とした。

元東京高裁部総括判事の門野博法政大学法科大学院教授は「形の上だけでなく先例の中身まで検討した質の高い評議を求めており、評議での裁判官の役割の重要性を改めて示した」と見る。その上で「国民感覚を反映させながら説得力のある判決にするには、先例の意義を踏まえ、裁判官が裁判員に丁寧に説明することが必要だ」としている。

関連項目