スマイリーキクチ

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スマイリーキクチ1972年1月16日 - )は、日本のお笑いタレントである。本名は菊池 聡東京都足立区北千住出身。太田プロダクション所属。

来歴・人物

1993年、体育専門学校時代の友人と「ナイトシフト」というお笑いコンビを組み『GAHAHAキング 爆笑王決定戦』(テレビ朝日)に出演。およそ1年半コンビとして活動した後ピン芸人へ転向。ニコニコしながら毒をはいて笑いをとる、毒舌漫談のスタイルが特徴である。ボキャブラ時代は仲本工事に似ている事をしばしばネタにしつつも、番組内で元ヤンであることを暴露されてからは、自身を弄った共演者を笑顔で恫喝する(穏やかな口調ながら物騒な言葉を吐く)というひな壇ギャグも行なった。

一時期、静岡県のローカル情報番組でMCを務めていた。2004年頃から韓国の俳優ヨン様ことペ・ヨンジュンに似てるということで、彼の真似をするようになり急に忙しくなったという。

格闘技、外車、古着コレクションなどの趣味があり、これらの趣味を仕事に生かしている。

1999年から2008年までインターネット上で長期間にわたって女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人と中傷され続けた。

2011年6月20日に一般女性と入籍。

スマイリーキクチ中傷被害事件

スマイリーキクチ中傷被害事件とは、お笑いタレントスマイリーキクチが、女子高生コンクリート詰め殺人事件に関与した等とする、いわれなき誹謗中傷被害を長期間にわたって受けていた事件である。

近年目立つようになった、インターネット上での誹謗中傷被害で加害者が一斉摘発された日本で初めての事件であると同時に、被害者がタレントであったことなどから全国紙テレビニュースでも大きく扱われ、ネット上における中傷被害の深刻さが一般に広く認識されるきっかけとなった。

概要

お笑いタレントスマイリーキクチ1999年春から、彼が女子高生コンクリート詰め殺人事件(以下、コンクリ事件)に関与した犯人であると信じている者たちからネット上の匿名掲示板などで中傷されるようになった。1989年に発覚したコンクリ事件は犯行形態から世間を震撼させた凶悪事件でありながら、犯人たちが未成年であったために少年法の規定により犯人の実名が匿名報道となって世間に広く知られることはなかったため、ネット上には様々な手法で調べた犯人のプロフィール(実名、職業、友人)を載せて世間に広めるなどして、犯人を糾弾をする者たちが存在した。しかし、コンクリ事件の犯人に対する糾弾が繰り返される内に、いつの間にかネット上では「出身地が犯行現場である足立区」「犯人グループと同世代」「10代の時にグレていた」芸能人であるキクチがコンクリ事件の犯人として扱われるようになっていた。なお読売新聞などの一部報道で所属先事務所がキクチを「足立区出身の元不良」なる謳い文句で売り出していたのが中傷のきっかけであるとされたが、バラエティ番組への出演で元ヤンキーだったことが紹介される機会が2度あった際に「中学時代のヤンキー姿の写真」が出たことがあるものの、所属事務所が元不良で売り出したことは否定している。

さらに「キクチはコンクリ事件のことをお笑いのネタにした」という事実無根の書き込みがあり、それを信じた者たちが匿名でネットに「キクチはコンクリ事件に関与したにも関わらず、反省もせずに芸能人として堂々とテレビに出続けている」「それだけでなく、キクチはコンクリ事件のことをお笑いのネタにした」としてキクチを中傷していた。ネットでの中傷は匿名掲示板の2ちゃんねる、キクチの所属事務所の電子掲示板に及んだ。

マネージャーからこれを知らされたキクチは「あまりにもくだらない」として当初取り合わないつもりだったものの、念のため所属事務所のHP上で「コンクリ事件への関与」と「コンクリ事件をお笑いのネタにした噂」を否定したが、ネット上では逆に「やってない証拠を出せ(悪魔の証明)」「火のない所に煙は立たない」と反論されるなど中傷は収まらなかった。同年6月にキクチから相談を受けた警察は脅迫罪の恐れがある書き込みを捜査して、管理者にログを開示させるなどして中傷書き込みをした3人の実名を判明させたが、それらはキクチが今までに聞いたこともない名前であった。当時はインターネットのセキュリティがかなり甘い時代であったため、実生活における人間関係の悪化などの中傷する動機等の他の証拠がない限り立件できず、これ以上の捜査は断念されることとなった。キクチの所属事務所は中傷コメントで荒らされたために自社の電子掲示板を閉鎖したが、2ちゃんねるなど他のサイトで書かれた中傷記載についての削除依頼は管理人に断られた。この中傷により、コンクリ事件キクチ犯人説を信じた視聴者から業界関係団体(テレビ局や番組スポンサーやCMスポンサー)に「殺人犯をテレビに出すな」との抗議が増えるようになり、キクチが舞台に上がると観客がヒソヒソ話やざわつくようになる異様な空気になった。

警視庁刑事のテレビコメンテイターである北芝健2005年に出版した著書『治安崩壊』の中に、コンクリ事件の犯人について「少年グループの一人は刑期を終えた後、2004年7月、再び、恐喝事件を起こして逮捕された。もちろん社会に出てきたのはこの一人だけではない。一足早く出てきた別の男は、お笑い系のコンビを組んで芸能界でデビューしたという」との記述があった。北芝の本で「お笑い系のコンビを組んで芸能界でデビューした犯人」について実名などの個人を特定する詳細なプロフィールは書かれなかったが(北芝のこの記述より前に同様の指摘をした記事や書籍が存在せず、お笑い芸人としてデビューした元犯人が実在するかどうかも不明)、この記述はお笑いコンビとして芸能界デビューしたキクチを連想させる表現だったため、ネット上ではコンクリ事件キクチ犯人説の根拠とされた。これによりネット上でのキクチへの中傷が過熱し、コンクリ事件キクチ犯人説を信じた視聴者から業界関係者への抗議が増えるようになった。

2008年1月にキクチはブログを開設した。開設理由は「ネットでさんざん嫌な思いをしたが、ふとブログで自分の言葉を発信すれば、『殺人犯スマイリーキクチ』の汚名を晴らせる」と思ったためであった。しかし、ブログ開設直後からブログのコメント欄にキクチをコンクリ事件の犯人扱いをする中傷書き込みが殺到する。キクチは当初は自分で中傷コメントを削除していたが、後にコメントを承認制に変更。コメント承認制にしたため、ブログの中傷コメントは不特定多数に読まれることは無くなったが、コンクリ事件関係者をハンドルネームにしたり、コメントを縦読みするとキクチを中傷する言葉になるようにコメント投稿する者や、キクチに好意的なコメントをした女性が運営するブログのコメント欄にコンクリ事件キクチ犯人説を書き込む者、会員制交流サイト「mixi」やネット百科事典「Wikipedia」にコンクリ事件キクチ犯人説を書き込む者、事件と関係のない内容のサイト(例の一部として盲導犬、大学のサークル、ピアノの発表会)の掲示板でコンクリ事件キクチ犯人説を書き込む者が現れるようになった。また、見えない相手からの中傷に不安を感じたキクチはブログで翌日にライブ出演する会場と出演時間を告知した上で「ブログの内容と関係のない質問がある方は、ライブ終了後に会場正面口で声をかけていただいたら、どんな質問でも必ず承ります」と面と向かって質問を受け付ける場を設けたが結局誰も質問に来ず、身元不明の中傷集団に一層ストレスを感じることになる。また他の芸能人が番組収録中の話や出演番組の放送日時告知等のブログ更新をするなどして芸能活動宣伝をしている中で、キクチは中傷を受けていたために芸能生活と関係のない私生活の内容のブログ更新をする日々が後述の2008年8月の中傷書き込みに対する刑事告訴の警告をする日まで続いた(これは前述のようにテレビ局や番組スポンサーやCMスポンサーに「殺人犯をテレビに出すな」旨の抗議が殺到し、業界関係者等に迷惑をかけることを懸念したためであった)。コンクリ事件キクチ犯人説を信じている者から襲撃されることを懸念し、仕事仲間や知人と酒を飲むなどの付き合いを減らし仕事が終わればすぐに帰宅したり、恋人と頻繁に連絡を取り合って一緒に帰宅したり身辺の安全を確認するようになった。

キクチは再び警察に相談することを決意。2008年4月からキクチは警視庁のハイテク犯罪対策捜査センターや管轄警察署の生活安全課に相談したが、「(キクチさんを)本気でコンクリ事件の犯人と信じている人はいない」「削除依頼をして様子を見ましょう」「様子を見ればネット誹謗中傷は落ち着く」「(芸能人だから)有名税みたいなもの」「(中傷コメントは)遊びだと思う」「(キクチさんは)インターネットなんてやらなければいい」「殺されそうになったとか、誰かが殺されたとかがないなら刑事事件にできない」「殺されたら捜査しますよ」と言われて相手にされなかった。キクチは知人に紹介された弁護士から「中傷書き込みをした者を特定するために掲示板管理者から発信者のログを開示してもらい、接続業者が発信者の個人情報を開示する必要がある」「掲示板管理者と接続業者が開示を拒否した場合は訴訟になるが、裁判所が開示命令を出すとは限らない」など相当の根気と労力が必要と説明され、「身の潔白を証明することを世間から注目される」ために北芝の本と出版社を相手に自分が風評被害に遭っていることを訴えることを検討し始めた。

4ヶ月後の2008年8月にキクチは別の部署である管轄警察署の刑事課に相談。管轄警察署の刑事課は前述の部署とは違い、刑事事件化に向けた対応を取った。警察のアドバイスを受けてキクチは「ブログでコンクリ事件との関係や虚偽の記載を否定し、今後誹謗中傷の書き込みをしたら刑事告訴すると警告する文章を提示」し、それでもキクチに対して誹謗中傷の書き込みをする者に対して強制捜査権を持つ警察がネットの発信記録から発信者を特定して検挙することとなった。この際、担当刑事がコンクリ事件に関する資料を取り寄せ、犯人及びその仲間に「きくち(菊池・菊地)」という名前がないことが確認された。

キクチは警察が動いたことで北芝の本と出版社を相手に訴訟を起こすことを止める代わりに、中傷犯への対策として北芝の事務所と出版社にコンクリ事件犯人説の風評被害を受けたことを理由に出版差し止めと謝罪広告を求める内容証明を2008年8月27日に通達。2008年9月に「記載された文章から一般読者がキクチ氏をコンクリ事件の犯人と認識することはないため、出版差し止めと謝罪広告を拒否する」旨の回答とし、「キクチ氏とコンクリ事件は無関係」の見解を得た。

中傷犯

キクチは中傷犯たちを「キクチを本気で殺人犯、強姦の共犯者と思い込んでいる者」「どうにかして殺人犯、強姦犯の共犯者に仕立て上げたい者」「犯行に異常な興味を抱く者」と考えていたが、一連の中傷被害において姿を見せない中傷集団にストレスを感じていた。しかし、警察が動いたことで状況は大きく動いた。

警察が最初に身元をつきとめられた中傷犯は最初は「二度としません」と反省したが、その3時間後にはまたネットで中傷を書き込むなどした。当初は警察はネットの中傷は注意をすれば収まると考えていたが、ネット中傷依存が深刻ととらえた警察は「悪質性の高い書き込みを厳選して、該当する者は一斉摘発する」方針に変えた。

2008年9月から2009年1月までにキクチに対する中傷犯19人が検挙された。中傷犯たちは関東だけでなく宮城県滋賀県大阪府にもおり、北は北海道から南は大分県まで全国幅広くに存在し、警視庁の刑事が実際に出向いて摘発した。年齢は半数近くが30代後半だったが上は47歳から下は17歳までいた。男性だけでなく女性も含まれており、女性の中には妊娠している者もいた。精神の病にかかっている者が4分の1近くいたが、それ以外には仕事や家庭を持つ社会人がおり、大手企業のサラリーマン・会社セキュリティ部門の責任者・会社の通信機を利用して中傷コメントを書き込んだ者もいた。取り調べをした刑事は中傷犯たちについて「どこにでもいる、おとなしそうな感じだった」、キクチは警察から見せられた中傷犯たちの顔写真について「怪しい目つきの2人を除き、どこにでもいる普通の人」という印象であった。中傷犯たちは実際に起きた殺人事件とは何の関係もなく、他の中傷犯たちや被害者のキクチとは実生活で一切面識がなかった。

中傷犯たちは警察に問い詰められると最初は「やってない」とシラを切った。警察が契約しているプロバイダ名やブログに投稿した時刻、コメント内容などの証拠を突きつけられると自分がやったと認める中傷犯もいたが、友人や同僚や知人のせいにして辻褄が合わなくなってようやく認めるものもいた。

コンクリ事件キクチ犯人説を信じていないが面白半分でやった1人を除きネット上で流布されていたコンクリ事件キクチ犯人説を信じており(前述の北芝の本をキクチ犯人説の根拠としていたのは8人)、彼らに対し「(警察として)キクチ氏とコンクリ事件は無関係で、ネット上のキクチ犯人説は事実無根」と中傷犯たちに知らせ、北芝の所属事務所と本を出版した河出書房新社からの「キクチ氏とコンクリ事件は無関係」とする内容証明を中傷犯たちに見せた。すると、中傷犯たちは「ネットに騙された」「本に騙された」と責任をなすりつけ、「仕事、人間関係、離婚など私生活で辛いことがありムシャクシャしていた」「キクチはただ中傷されただけだが、私生活で辛かった自分のほうがつらい」「他の人は何度もやっているのに、なぜ一度しかやっていない自分が捕まるのか」と被害者意識をあらわにした。「言論の自由」を主張した中傷犯は刑事から「表現の自由なら自分の名前が書かれてもよいのか」と問われると「キクチは芸能人だから書かれてもよいが、自分は一般人だから嫌だ」と無責任な発言をした。

中傷犯への取り調べの様子を刑事から聞かされたキクチは、中傷犯たちについて「『情報の仕分け』『考える力』『情報発信者を疑う能力』の3つが欠如している」「他人の言葉に責任を押し付ける」「自分の言葉には責任を持たない」という共通点があるという感想を持った。なお、警察から取り調べを受ける中で自分が起こした中傷や脅迫を反省して「本人に謝罪したい」と言う中傷犯が数人いたが、実際にキクチの所属事務所へ本人宛ての謝罪文を送った者はいなかった。

2009年2月5日にテレビ、新聞、スポーツ紙などの複数のメディアでキクチへの中傷事件が報道された。

この報道で警察が「キクチはコンクリ事件と無関係」であることを発表したため、ネットではコンクリ事件キクチ犯人説は事実無根の中傷であるという認識が広まり、キクチへの中傷書き込みは激減することになった。またこの報道の少し前から韓国の俳優が相次いで自殺した理由にネットにおける中傷が報じられており、ネットの中傷被害が世間に広く報道されるきっかけとなった。

2009年3月27日までに、起訴できる見込みがあると警察が判断した7人の中傷犯が検察に書類送検された。

2010年1月21日に検察から「キクチに対する誹謗中傷や脅迫の書き込みをした人たちは他にもおり、一部の人だけを起訴すれば不公平」として3人の中傷犯に起訴猶予処分(名誉棄損容疑2人・脅迫容疑1人)、4人の中傷犯に嫌疑不十分の不起訴処分(名誉棄損容疑2人・脅迫容疑2人)が下された。

出演番組

バラエティ
テレビドラマ
音楽

著書

  • 『突然、僕は殺人犯にされた - ネット中傷被害を受けた10年間』 竹書房 2011年

関連項目

外部リンク